施設研究会 第16回 中規模賃貸オフィス(野村不動産pmo内覧)

2010/11/10

野村不動産が2009年から展開している中規模賃貸オフィスのpmoシリーズを内覧させて頂いた。 

 

 野村不動産は、三菱地所、三井不動産、森ビルなどと同様に大規模オフィスビルを不動産所有しているが、かねてから入居希望テナントから要望の多かった、ミッドサイズオフィスとしてpmoシリーズを展開している。 

 力のある中小規模の企業が、最新鋭のオフィス環境を手に入れようとした場合、大規模オフィスビルは大きなフロア面積を有するものが多く、使いやすいものではない。またそうした企業は、セキュリティーや耐震性能に劣る古いオフィスビルで妥協せざる負えない現状がある。pmoはそこに注目し、東京駅から秋葉原駅の周辺の東側を中心とした、古くからのオフィスビルのエリアに集中的に供給されている。 

 pmoは、プレミアム・ミッドサイズ・オフィスの略語であり、経営者とそこに働く全ての人の心に誇りと自信を与え、より高次元の満足と成果を産み出すオフィスビルをコンセプトとしている。

 今回内覧をさせて頂いたのは、竣工済み物件であるpmo日本橋大伝馬町の空きフロアーとpmo秋葉原のショールームとして使用されているフロアーを内覧した。基準階面積は、それぞれ約70坪、約130坪。秋葉原はすでに入居契約が好調で、第二期としてすぐそばにpmo秋葉原Ⅱが建設中であった。

 pmoシリーズは、通常のインテリジェント・オフィスに設定のない50坪から150坪程度のフロアー構成が特徴で、この地域の大規模インテリジェント・オフィスの代表格である秋葉原のUDXではテナント区画が広すぎる、という企業には願ってもないオフィスであると言える。実際に内覧時点では、近隣のpmo岩本町をはじめほとんどが満室であった。入居テナントの内訳は、弁護士事務所や土地柄を反映してIT関連の業種が多いようだ。

 共用部の間接照明、香り、使用されている素材の質感など、ホテルのインテリアを意識した作りになっており、今やある程度の規模のオフィス・商業施設では、当たり前になった要素はきちんと押さえられている。香りに関しては、マンダリンオリエンタルホテル東京と同じものが使用されていて、利用者や来客に対するプレミアムなおもてなしという演出も行われている。

 入居するテナントから見ると、野村不動産というブランドから産み出された“パッケージ”は安心感があるだろう。オフィスデザインのトレンドは刻々と変わっていくが、綿密なマーケットのリサーチの上、ターゲットをうまくつかんでいると感じた。

 

 今後、ワークプレイスの多様化によって、こうしたパーマネントオフィスの需要も変わっていくと思われるが、その中でどう進化していくか、引き続きウォッチしてきたい。

 

作成:中丸 隆司