施設研究会 第14回 福岡&大分&熊本 北九州・博多視察&界ASO視察
2010/06/25-27
福岡では小倉・門司港・博多にて公共施設・商業施設・宿泊施設の視察を行った。大分では由布院にて美術館を、熊本では宿泊施設と熊本アートポリス(以降KAP)の一部を視察した。
■DAY1 (2010/06/25)
北九州空港より小倉→門司港→博多と、順に回り、小倉では市場、商業施設、図書館を視察。門司港では美術館、アート村、歴史地区を博多では小学校・宿泊施設を視察した。
・旦過市場
福岡県北九州市小倉北区魚町にある市場。北九州の台所とも呼ばれる。神嶽川(かんたけがわ)と道路に囲まれた三角状の狭い土地に生鮮食料品や飲食店など200軒以上の店舗が集まっている。
・リバーウォーク北九州
北九州市の中心部、小倉城の真横に建てられた大規模複合施設。建物は、赤、黄色、黒、薄茶、白と異なる色を使った5つの建物から構成されている。北九州市が元々5つの市が合併して出来たことから、このような設計となっている。
・市立中央図書館
磯崎新氏の初期の代表作である。外皮をヴォールド(カマボコ状の形態)状で屋根を青銅で葺いた特徴的な外観。内部は、外の印象とは違いクールな空間となっている。
■門司港周辺
・海峡ドラマシップ
北九州の門司港のレトロ地区と呼ばれている観光地につくられた、関門海峡の歴史や現在を展示した博物館である。
・門司港アート村
開門海峡を一望できる高台に位置し、アートを核とした門司港ブランドを全国に発信している。ここでは現在9名の村民により木工、陶芸、彫刻、ガラス工芸、弦楽器製作等を様々な分野のアーティスト達が精力的に活動している。建物は廃校になった小学校を再利用している。
■博多周辺の有名建築を視察
・博多小学校
博多市の中心部にある児童の減少により博多部の4つの学校をひとつに統合した。全国的にも珍しく、地域と教育委員会を中心とした行政が一体となって、参加型の「まちの学校」づくりが進められた。設計はシーラカンスK&H。学校の授業終了後に見学をさせて頂いた。各教室に壁を設けないことで都会の中の制約があるスペースでオープンなスペースづくりに成功している。
■今回宿泊した博多のホテル
・ホテル イル・パラッツォ
1989年に開業した日本におけるデザイナーズ・ホテルの先駆け。2009年7月20日に内装リニューアルによって往時のインテリアデザインとは違うものとなってしまっているのが残念。
・グランドハイアット福岡
1996年4月26日、日本初のハイグレードな「グランド・ハイアット」ブランドのホテルとしてキャナルシティ博多内に開業。 標準のゲストルームは40平方メートル。スイートルーム12室を含む全370室にファックスモデム、コンピューターモデム、独立型シャワーブースのある広いバスルーム、浴室テレビ、ウォシュレット式トイレを完備。7つの個性溢れるレストラン、ラウンジバー、フィットネスセンターがある。福岡を代表する商業施設、キャナルシティーと一体で開発されたこともあり、博多の街で最もイメージしやすいハイグレードホテルだろう。
・ヒルトン福岡シーホーク
2010年6月に旧JALリゾート シーホークホテル福岡から「ヒルトン福岡シーホーク」としてリニューアルOPENした。福岡ドームのエリアにあり中洲などの中心部からはかなり距離がある。ホテルステイでゲストを楽しませる工夫が必要と思われる。
■DAY2 (2010/09/26)
福岡→大分→熊本
博多市内の公共施設をいくつか視察後、大分県の由布院にある美術館へ向かった。美術館視察後、熊本県の阿蘇山周辺にある宿泊施設にて宿泊。
・アクロス福岡
旧福岡県庁跡地に国際・文化交流の拠点を目指し、1995年に建てられた、福岡県施設と民間施設(オフィススペース・商業施設)が同居した公民複合施設。大規模な屋上緑化により公園と一体となったランドスケープを構成している。
・天神MMビルIMS
1989年にOPENした複合商業施設。外観は金色のタイルで装飾された八角形型。内部は建物の中央を地下2階から地上8階まで貫く大きな吹き抜けが特徴である。
・福岡銀行本店
福岡市の中心部、天神につくられた銀行の本店。設計者は黒川紀章氏。
・キャナルシティー博多
福岡地所が管理運営する、複合型商業施設。設計者は、アメリカ人建築家ジョン・ジャーディ氏。
■由布院
・由布院美術館(現存せず)
1991年に象設計集団+アトリエ140設計による設計の画家佐藤渓氏の美術館。中庭を中心に特徴のある各展示室が並んでいる。
■阿蘇山周辺
・界aso (現在は星野リゾート運営の施設)
阿蘇の自然の中に本館、各客室がそれぞれ独立して配置されている旅館。本館にはロビー・スパ、月見台、ダイニング、ラウンジなどがあり、離れの客室には露天風呂と内風呂がある。
■DAY3 (2010/06/27)
最終日は熊本県が建築や都市計画を通して文化の向上を図ろうというコンセプトで実施している熊本アートポリス事業(KAP)の一部を視察した。
・馬見原橋
旧馬見原橋の老朽化に伴う架け替えにて、町活性化の起爆剤となることが求められた。
建築家青木淳氏により通行だけの橋ではなく、憩いの場となるような工夫がされている。
・道の駅「清和文楽邑」
清和村の道の駅。ここにKAPの建築物が3つある。一つは江戸末期より受け継がれている清和文楽を伝承していくための建物「清和文楽館」。もう一つは野外で行われる薪文楽を雨天でも室内でディナーショーとして行えるように計画された「清和郷土料理館」。最後にこれらの伝統建築技術が用いられた建物と調和するように計画された「公衆トイレ」。またこの場所には、KAPとは別だが、これら以外に直売・お土産や食事ができる「物産館」もある。
作成:武藤 順平