施設研究会 第5回 台湾ホテル・集合住宅視察

2007/05/24-28

 

 前回の上海のホテル視察に引き続き、台北市内のホテルと台中の日月譚にある台湾初の本格的リゾートTHE LALU SUN MOON LAKEの視察を行った。また台湾市内でこれから供給されている集合住宅のモデルルームも視察した。

 

■ THE LALU SUN MOON LAKE

 日月譚は台湾でもっとも大きな湖であり、かねてより台湾の景勝地として有名な土地である。またTHE LALUは蒋介石の別荘を改装されて建てられたホテルであり、アジア建築に造嗜の深いオーストラリアの建築家、ケリー・ヒルの設計で話題になったホテル。ちなみにケリー・ヒルはこのホテルの前にドバイの高級リゾートなども手がけている。

 今回はプール付きのコートヤード・スイートに宿泊した。まず、高級リゾートというが、バスローブで共用スペースを歩き回る宿泊客がおり、ホテル側が何も対応しないことが気になった。他の宿泊客が不快な思いをしなくて済むよう、オペレーション面の改善を期待したい。また宿泊したコートヤード・スイートには東屋があるが、台風の影響で傾いており、格子戸が動かないなど、ハードのメンテナンスはしっかりしてもらいたいと感じた。ルーム・サービスの対応については、品揃えがあまり良くない上に、時間帯によっては非常にレスポンスが悪く、改善の余地があると感じた。

 ただそうした細かい点を除けば、このホテルはそのロケーションと建物の構成から、非日常を提供してくれる最高のリゾートホテルであることは間違いない。最後に、このホテル宿泊時に忘れ物をしてしまったのだが、帰国後にEMSできちんと届けて頂いた。その間の対応は迅速で素晴らしかった。

 

 

■ 台北集合住宅モデルルーム視察

 当時、渋谷区の集合住宅プロジェクトに関わっていたこともあり、東京の3A(赤坂、麻布、青山)と呼ばれる地域をはじめ、積極的に建築中の現場、モデルルーム、共用スペースを見て回っていた事から、今回の訪問でも台北市内の集合住宅事情をチェックすべくモデルルームをいくつか視察した。

 台北市の中心部にあるものはホテルさながらのロビーを備え、会員制となっているものもあった。私達が視察した中でもっとも印象的であったものは、車寄せ付きのかなり豪勢なモデルルームで、大きな吹抜に面したガラススクリーンから緑豊かな環境に囲まれた工事現場を望めるものがあり、高級レジデンスでも仮設建築物の中に窮屈にモデルルーム設置する日本の感覚とはかけ離れていた事に驚いた。

 敷地全体の模型や構造、設備等の説明などは、多少の違いこそあれ日本同様だ。だがモデルルームは実物と同じ間取は再現されているものの、什器やキッチンなどは簡素化され、扉に至っては扉がないなど日本では考えられない状態のところもあり、これで購入を判断させるのかといったものもあった。どのレジデンスもファサードデザインが、かなりポイントとなるようで、ヨーロッパの建築様式をとり入れたものが多く見受けられる。また建物自体が日本の様に超高層ではないことから、最上階はプールなどに利用されているものもあり、台北でこうした住宅を得ることが一つのステータスになっている事が理解できた。

 なお、日本同様に新聞の折り込みなどにかなりの数の広告が出ているが、日本のデベロッパーの様に毎月会員誌として配布しているようなシステムはなく、現地設計者の内、日本のこれら会員誌を毎月持ち込んで研究している者もいた。

 

作成:中丸 隆司