施設研究会 第1回 寛ぎの空間におけるバーとレストランバー

2006/9/28

-コンラッド東京 Bar&RoungeTWENTY EIGHT

 

 日本からイメージされる素材(和紙・木)を使ってまとめており、現在のホテル共用スペースのインテリア・デザインの流行が見て取れる。

  このラウンジの良いところは、浜離宮側からレインボーブリッジに向けた海側のビューと、天井が高く開放感があるところだ。非常に奥行きがない建物なのだが、それを感じさせない大きなガラススクリーンが良い。客席はどこからも景色が一望できるよう、視線が重ならない様に配置に工夫がされている。また中央のボトル棚も視界を妨げないようにガラス製となっており、圧迫感を無くす事に成功している。

  外資系ホテルのオープン・ラッシュが続いたおかげで、雑誌などにホテルの週末ステイなどが頻繁に特集され、こうしたホテルのラウンジなどが非常にカジュアルな場所に変化して来た。今後は、ランチ・ミーティングや、ティータイムを優雅に過ごす、ディナーの後に落ち着いて飲み直すなど、ビジネスでもプライベートでも様々なシーンで利用できる場所を提供して行くことは都市型ホテルの役目であろう。  

 宿泊客以外の利用が増えることで、質の高い空間がより一般に認知される様になり、インテリア空間に対する関心が高まることは良いことである。同時に私達はこうした空間をデザインする立場として、そのサービスも含め、継続的にチェックして行かなければならない。

-銀座ミキモトビル 8,9階 ”DAZZLE

 

 伊藤豊雄氏設計のMIKOMOTO GINZA 2の上層階にあるレストランである。雑誌に掲載されている写真は非常に美しく、期待して行ったのだが実物はかなり”つくりもの”感がある。

 確かに逆円錐のワインセラーは圧巻だが、銀座という立地を考えるとそれ以外はもう少し仕上げのグレードをあげても良かったのではないかと思える。利益追求型のこうした商業施設では、仕上げグレードのバランスを取るのが難しいのかもしれないが、だからこそ見せ方の工夫はあると思う。ホテルのラウンジやレストランの仕上げに見慣れた目では、厳しい評価にならざる終えない。どちらかと言えばメインフロアーより、照明を落とした待合バーの方が雰囲気が出ていて良い。

 エレベーター前に見せるキッチンを配置したり、バーからメインフロアーへのローカルエレベーターは演出装置として考えられているが、これらだけでリピーターを掴めるかは疑問だ。ちなみ首都圏においては、ウェディング・パーティーに個性的な演出を求める傾向があり、ホテルよりレストランで行うケースが倍ほどあるそうだ(2006年当時)。このレストランでも11組限定のレストラン・ウェディングも行っているが、本来のレストランという機能もさることながら、立地を生かしてイベントスペースとして、うまく活用して行くことが必要だと感じた。

 

作成:中丸 隆司